UNESCOの無形文化遺産にも指定されている歌舞伎は、17~18世紀の元禄期に興った日本の伝統芸能です。舞台芸術である歌舞伎は、「見得」や「六方」と呼ばれる独特なポーズや所作、そして役柄を表現するための派手な衣装や化粧といった特徴で知られています。歌舞伎の脚本の大半は江戸時代に書かれたもので、第二次大戦以降に制作されたものは「新作歌舞伎」と呼ばれます。
「生田斗真 挑む」は、新作歌舞伎「赤胴鈴之助」の稽古から本番までの舞台裏を追ったドキュメンタリー作品。俳優の生田斗真 (「花ざかりの君たちへ イケメン♂パラダイス」「人間失格」) が長年の友人である歌舞伎俳優・尾上松也 (「永遠の0」「すくってごらん」) とともに、自身初の歌舞伎の舞台に挑む姿に迫ります。
尾上は次のように語ります。「このドキュメンタリーを通じて、世界中の人たちに日本の役者2人が新しいことに挑戦する姿を見ていただき、歌舞伎のことをもっと知っていただければと思います」
これまで幾度となく舞台に立ってきた尾上とは異なり、生田にとって歌舞伎はまったく新しい領域。尾上との関係が今回の舞台へとつながっていった経緯、また歌舞伎という伝統芸能に挑む中で感じたことを語ります。
新作歌舞伎に挑戦することになったきっかけを教えてください
歌舞伎役者の尾上松也くんが僕の高校の同級生なんですが、彼と高校時代、教室の片隅で、いつか一緒に舞台立ちたいね、いつか一緒に歌舞伎やりたいねという話をしました。
そのときは、軽く「そうだね」って返してしまったんですけれども、心のどこかに絶対無理だろうな、そんなの実現するわけないよな、夢のまた夢というか、夢にも思わないような非現実的なことだったんですが
時を経てこうして松也くんと一緒に、本当に下北沢で歌舞伎をさせてもらうことになりました。今でも現実味がないような感じがすごくするんですが、歌舞伎を通して、松也くんとの稽古期間を通して、本当に自分自身、この先の人生が変わっちゃうくらいの衝撃的な日々でしたね。
歌舞伎の本編をご覧になってくださった方も、そうでない方も、きっと楽しんでもらえる内容になっているんじゃないかなと思います。
稽古・公演を振り返っていかがですか
今回、初めて歌舞伎というものに挑戦させていただいたんですけれども、今思い出しても胸が高鳴るような、あの時の緊張感が本当に蘇ってくるような思いです。
下北沢の本多劇場で、たくさんのお客さんの前で、ひとりの歌舞伎役者みたいなような感じで舞台に立たせてもらいましたけど、あの時の興奮は本当に忘れられません。
そしてその様子がドキュメンタリーにもしっかり刻み込まれていると思うので、本当に世界中の皆さんに、たくさんの方々にご覧になって欲しいなと思っています。
初めての新作歌舞伎に挑むことに、迷いはありませんでしたか。
数年前に、松也くんから歌舞伎に挑戦してみないかと声をかけていただいた時には、本当に学生時代、彼と教室で交わした約束を思い出して、なんというか、震えが来るような、独特の感情に見舞われたのを覚えていますね。
僕のような普通の俳優が歌舞伎に挑戦するというのは本当に異例なことだと思いますし、あんな大役をいただくということもなかなか経験できることではないんですけれども
本当に一生懸命手探りでいろんな技術を教えていただいたりとか、頑張って歌舞伎を作ったので、すごい楽しい日々でした。
Netflixで全世界に配信されます。視聴者の皆さんに向けて作品の見どころを教えてください。
本当に学生時代からの僕自身の夢を叶えた瞬間が刻み込まれているドキュメンタリーです。
本当に190カ国以上の国の方々にご覧になっていただける機会をいただけたのは本当に嬉しい限りで、松也くんと学生時代、歌舞伎やろうぜ、いいよ、っと言っていたときには、こんな大事になるなんて想像もしてなかったので、僕自身もまだ感情が追いついていないんですけれども、ぜひ多くの方々に、たくさんの方々にご覧になってほしいなと思います。ま、思う反面、ちょっと自分の心の内側というか、内面をみられてしまうような、ちょっと恥ずかしさもあるんですけれども。ぜひぜひ、暖かく見守っていただけたらと思います。